2026年8月号
抗シワ有効成分開発に向けた研究開発
| 月号・特集 | Cosmetic Science 2026年8月号 |
|---|---|
| 論文No | 03 |
| 著者所属 | ポーラ化成工業株式会社 フロンティアリサーチセンター |
| 著者 | 礒田 隆宏 |
| タイトル | 抗シワ有効成分開発に向けた研究開発 |
| 論文の概要(要約) | シワは加齢とともに生じる主要な肌悩みであり、本邦では多数の抗シワ効能を標榜する化粧品や医薬部外品が開発されてきたが、必ずしもすべての消費者の期待に応える効果が発揮されてはいない。医薬部外品は化粧品と異なり厚生労働大臣の承認が必要となる一方、改善まで踏み込んだ抗シワ効能を標榜できる。本稿では、光老化による表皮・表皮真皮接合部(DEJ)・真皮ECMの構造変化と、角化細胞・線維芽細胞の変化を中心にシワ形成メカニズムに関連する知見をまとめたのち、ニールワン®、レチノール、ナイアシンアミド、ライスパワー®No.11+、VEP-Mの5主剤とその作用機序を概説し、今後の研究開発の方向性について述べる。 |
| 研究目的 | シワ形成にかかわる光老化研究の知見を整理し、これまでに開発された抗シワ医薬部外品主剤の作用機序を概説したうえで、より高い効果実感の実現に向けた研究開発の方向性を示すことを目的とした。 |
| 手法 | シワ形成メカニズムと抗シワ有効成分に関する文献レビュー。光老化による表皮・DEJ・真皮ECMの構造変化、MMPsや好中球エラスターゼによる分解、UVA/UVBに対する角化細胞・線維芽細胞の応答、シングルセルRNA解析の報告を整理し、2026年4月現在開発されている抗シワ医薬部外品主剤5種類の作用機序を比較した。 |
| 主要成果 | 光老化では、基底膜の断裂や重複化、コラーゲン線維束の量的・質的低下、solar elastosisなどの弾性線維変性、ECM硬化といった多様な変化が総合的に皮膚物性を変化させ、シワにつながると考えられる。またECM分解は線維芽細胞のメカノセンシングを介してさらなる分解を促す自己増幅的な構造破綻を生じる。開発済み主剤5種類は作用点が異なり、肌状態に応じた有効成分選択システムの構築や、シングルセル・空間トランスクリプトーム解析による新規標的探索の重要性が指摘される。 |