1.開発背景
油剤は化粧品の使用感や機能性を高めるために欠かせない成分です。その中でも当社のパールリーム®シリーズ(水添ポリイソブテン)は、無色、無臭であり、良好な安定性を示す油剤として広く展開されています。本製品はスクワランに類似した構造を持つパールリーム6など、低粘度品から高粘度品まで様々なラインナップがあるため、機能調整や感触調整が可能です。特に高粘度品は良好な密着性やツヤ感もあることからヘアケア剤型においてハリ感や毛髪補修の効果を付与します。しかしながら、高粘度であるため、ハンドリング性に欠けるというデメリットがありました。そこで、高粘度品の長所とハンドリング性を両立した製品として、「パールリーム®BH-300P」を開発いたしました。


| 表示名称 | 水添ポリイソブテン |
| INCI NAME | HYDROGENATED POLYISOBUTENE |
| 中文INCI (2025) | 氢化聚异丁烯 |
| 性状 | 無色の液体、無臭 |
| 粘度 (25℃) | 約 300 mPa·s |
2.ダメージ保護効果
パールリーム®BH-300Pを配合することにより、毛髪のダメージを保護することが可能です。各種油剤で処理した毛髪の切れやキューティクルの剥がれによるダメージに対する保護効果を比較しました。
【評価サンプル】
※パールリーム®:パールリーム®BH-300P
各種油剤※:10wt%/パールリーム®3:90wt%/水+その他(乳化剤等):残部
シリコーン:ジメチコン/エステル油:多分岐エステル
毛髪を各種油剤で処理した際の毛髪の切れとキューティクルの剥がれを確認しました。パールリーム®BH-300Pは他の油剤と比較して、ヘアアイロンにおける熱ダメージを与えた後でも髪が切れにくいことが示されました(図3)。

| <装置> 引張破断試験機(KES-G1-SH) <方法> 1. 人毛束に評価サンプルを塗布 2. 23℃、40%RHで1時間静置後、200℃に設定したヘアアイロンで50回処理 3. 引張破断試験機で破断時の伸びを測定し、熱処理前後の変化率を算出した 変化率(%)=(処理前の伸び-処理後の伸び)×100/処理前の伸び |
パールリーム®BH-300Pを塗布した毛髪は摩擦ダメージを与えた後でもキューティクルの剥がれを低減することが示されました(図4)。

| <装置> 走査電子顕微鏡(JSM-IT500) <方法> 1. 人毛束に評価サンプルを塗布 2. 23℃、40%RHで1時間静置 3. 摩擦ダメージを与えた後のキューティクルの状態を走査電子顕微鏡で観察 |
3.コンディショナー配合時の評価
使用したコンディショナー処方を以下に示します。
| 成分 | 配合量(wt%) |
|---|---|
| ベヘントリモニウムクロリド | 1.0 |
| セタノール、ステアリルアルコール | 2.8 |
| 各種油剤※※ | 5.0 |
| 水+その他(乳化剤等) | 残部 |
| 計 | 100.0 |
※※ Blank:無配合/パールリーム®:パールリーム®BH-300P/シリコーン:ジメチコン
3-1 コンディショナー配合時のツヤ・すべり性の評価
簡易コンディショナー処方(表2)にて毛髪のツヤとすべり性について評価を行いました。グロッシーメーターを用いた測定では、パールリーム®BH-300Pを配合したコンディショナーを使用した際に毛髪のツヤの向上が確認されました(図5)。

| <装置> グロッシーメーター(GL200MP) <方法> 1. 人毛束を簡易コンディショナー処方で処理し、ドライヤーで乾燥 2. 23℃、40%RHで6時間静置後、測定を実施 |
静動摩擦測定機を用いた測定では、パールリーム®BH-300P配合のコンディショナーを用いた毛髪はシリコーンを配合したコンディショナーを用いた毛髪と同等のすべり性を示しました(図6)。

| <装置> 静動摩擦測定機(TL201Tt) <方法> 1. 人毛束を簡易コンディショナー処方で処理し、ドライヤーで乾燥 2. 23℃、40%RHで6時間静置後、測定を実施 |
3-2 簡易コンディショナー使用時の官能評価
続いて官能評価の結果を示します(図7)。パールリーム®BH-300Pを配合したコンディショナーを使用した毛髪はツヤと髪の弾力感においてブランクやシリコーンよりも優位性を示しました。

| <方法> 1. 人毛束を簡易コンディショナー処方で処理し、ドライヤーで乾燥 2. 23℃、40%RHで6時間静置後、官能評価にてBlankを基準(3点)として5段階評価。 |
4.トリートメント処方例
ツヤを与え、髪を守るトリートメント
| <調製方法> (1)室温でA相の原料を少しずつ水に添加して予備分散させる。 (2)A相にB相の原料を順次加え、80℃で均一になるまで攪拌する。 (3)C相を量りとり、80℃で均一になるまで攪拌する。 (4)80℃で攪拌しながらA+B相にC相を加え、均一になるまで攪拌する。 (5)ホモミキサー(6,000rpm)で80℃、5分間攪拌する。 (6)攪拌しながら室温まで冷却する。 |
※上記処方は弊社において鋭意検討したものではありますが、安全性・安定性および工業所有権等の権利を保証するものではありません。製品化に関しては各位におかれまして最適化をお願い申し上げます。