株式会社コーセー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:田中 慎二)は、微小カプセルであるリポソームを配合することでナイアシンアミドの肌への浸透性が高まることを確認しました。リポソームの単純製剤にて検証したところ、リポソームを配合しない場合と比較して、肌の角層、表皮生細胞層、真皮のすべてでナイアシンアミドの浸透量が有意に増加しました。ナイアシンアミドはシワやシミ予防への効果が知られており、肌の各層で働く成分のため、本成果はその多様な効果をリポソームによってさらに高められる可能性を示しています。

研究の背景
シワやシミは加齢とともに多くの人が抱える肌悩みであり、ナイアシンアミドはシワ改善や美白の有効成分として広く用いられています。ナイアシンアミドは、シワ改善としては真皮線維芽細胞でのコラーゲン産生の促進や表皮のターンオーバーの促進、美白としては表皮においてシミのもとであるメラノソームの受け渡しを阻害するなど、肌の各層で働く多機能成分です。この機能をより高めるべく、本研究では当社が40年以上の研究を重ねてきたリポソームの浸透性に着目し、それがナイアシンアミドの肌への浸透性に与える影響を検証しました。
ナイアシンアミドの肌浸透性評価技術の開発
肌は表皮(角層や表皮生細胞層)や真皮などの複数の層をもち、それぞれに脂質やタンパク質など多くの生体成分が存在する複雑な構造体です。そのため、肌内部に浸透した微量な美容成分を、各層で精度高く測定することは容易なことではありません。当社ではそんな肌の中で微量成分を精度高く捉える浸透性評価技術を有しており、開発したリポソームの浸透性評価などに応用してきました※1。測定する成分ごとに考慮すべき要素は異なるため、今回は肌の各層に含まれる生体成分の影響を抑えながらナイアシンアミドを精密に定量する評価技術を構築しました。
※1 水溶性成分を肌深くまでムラなく浸透させる 「高親水性リポソーム」を開発
リポソーム配合によりナイアシンアミドの肌浸透性が高まる
ナイアシンアミドとリポソームを配合した単純製剤を作製し、ヒト皮膚を用いてナイアシンアミドの浸透性評価を行いました。その結果、リポソームを配合していない製剤と比較して、角層、表皮生細胞層、真皮のすべてでナイアシンアミドの浸透量が有意に増加しました(図1)。リポソームは生体成分であるリン脂質を主成分としており、当社のリポソームでは製剤を肌表面の細かな凹凸までムラなくぬれ拡がりやすくする特性を確認しています。また、リポソームが水溶性成分を角層細胞だけでなく、その間を埋める細胞間脂質にも均一に分布させることが確認しており、これらの特性が水溶性成分であるナイアシンアミドの浸透量の増加に寄与したと考えます。このことから、リポソームはナイアシンアミドの肌の各層への浸透を高め、同成分のもつシワやシミ予防への効果を高められる可能性が示されました。
今後の展望
本研究から、リポソームを活用することでナイアシンアミドの肌への浸透性を高められる可能性が示されました。今後はこの知見を製品開発に活かし、有効成分をより効果的に肌に届け、その機能をより一層引き出すことを目指します。引き続き、皮膚科学と製剤技術を組み合わせながら、有効成分の機能を最大限に活かす製品の実現に向けて、研究開発を進めてまいります。