2026年2月号

個人差を乗り越える香りデザイン:香りと情動を連合させた自伝的記憶想起の実験的研究

月号・特集 Cosmetic Science 2026年2月号
論文No 06
著者所属 花王株式会社 感覚科学研究所
著者 杉山 東子
タイトル 個人差を乗り越える香りデザイン:香りと情動を連合させた自伝的記憶想起の実験的研究
論文の概要(要約) 香りを手がかりとした自伝的記憶想起(プルースト効果)は強い情動を伴うが、個人の経験に依存するため、多くの生活者に共通するポジティブな記憶を想起させる香りの特定は困難であった。本研究では、製品使用文脈で香りとポジティブな情動体験を連合させる手続きを構築し効果を検証した。社員が装飾した香り付きノート(第1のギフト、ローズまたは柑橘系)を年上女性近親者42名に贈り、2週間日誌記入後、同一ローズ香の入浴剤(第2のギフト)を2週間連用する二段階ギフト設計を採用。連合学習群は統制群と比べ香りの好み・睡眠感・全体気分が有意に改善し、終了後2週間まで継続傾向を示した。連合学習が製品体験価値を高めることを示した。
研究目的 製品使用文脈において香りとポジティブな情動体験を連合させることで、個人差を乗り越えて自伝的記憶想起の効果(気分・主観的健康感の向上)が得られるかを実験的に検証する。
手法 42名の年上女性近親者を連合学習群(22名)と統制群(20名)に分け、香り付きノート(2週間)と入浴剤(2週間連用)からなる二段階ギフト介入を実施。ベースライン・入浴剤1回使用後・連用後・空白2週間後の4時点で気分、主観的健康感、香りの好み・印象を評価した。
主要成果 連合学習群では統制群と比較して、香りの好みと「優雅な気持ち」評価が向上傾向を示し、全体気分、よく眠れた実感、朝スッキリ目覚めの項目で有意に改善した。連用後の効果は空白2週間後まで継続する傾向が認められた。

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