2026年4月号

敏感肌サイエンスの進化と未来

月号・特集 Cosmetic Science 2026年4月号
論文No 02
著者所属 東邦大学 医学部皮膚科学教室/株式会社資生堂 みらい開発研究所
著者 松永 由紀子/針谷 毅
タイトル 敏感肌サイエンスの進化と未来
論文の概要(要約) 敏感肌を「疾患名ではなく概念」として位置づけ、国際かゆみフォーラム(IFSI)による2017年の定義から日本における「広義の敏感肌」概念までを整理した総説である。1980年から2024年にかけての資生堂調査を引用し、敏感肌を自覚する日本人女性の割合が21%から約80%へ急増した推移を示した。バリア機能維持に関わる角層成熟プロセスではCaspase-14・BHによるフィラグリン分解とNMF産生、バイオマーカーとしてのSCCA1の意義を解説。3次元表皮モデル評価でキシリトールがラメラ顆粒放出を促進することを示した。さらにスキンマイクロバイオームの多様性低下やアクネ菌優位化が敏感肌に関連することを提示し、今後の研究方向性を展望している。
研究目的 敏感肌概念の国際的定義・日本での認識の変遷を整理するとともに、角層バリア機能とスキンマイクロバイオームに関する最新の研究知見を統合し、今後の敏感肌サイエンスの方向性を提示すること。
手法 国内外の文献レビュー、資生堂による皮膚科医調査(1999年、248施設397名)及び20〜30代女性の敏感肌意識長期調査(1980〜2024年)、著者らの基礎研究(BH活性測定、SCCA1解析、蛍光プローブを用いた3次元表皮モデルでの脂質流動性可視化、乳酸刺激反応群のマイクロバイオーム解析)を統合的に紹介する総説。
主要成果 敏感肌は多様なサブタイプに分けられ、女性では80%前後で高止まりしている。BH活性が高いほどTEWLが低く遊離アミノ酸量が多く、加齢とともに低下する。SCCA1はバリア低下のバイオマーカーとなり乳児期からのアトピー発症予測にも有用である。キシリトールは顆粒層上部の脂質流動性を高めラメラ顆粒放出を促進する。敏感肌者はマイクロバイオーム多様性が低下し、額部でアクネ菌割合が有意に高い傾向が示された。

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