ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:釘丸和也)は、まるで上質なスキンケアのようなみずみずしくコクのある感触をファンデーションで楽しめる製剤技術の開発に成功しました。本成果は、ポーラ・オルビスグループから発売される製品に活用されます。
クリームファンデーションに上質なスキンケア品の感触を
ポーラ化成工業では、楽しみながら製品をお使いいただけるよう、感触にこだわったものづくりをしています。なかでも界面化学の技術によって上質な感触に仕上げることは得意分野の一つです。そこで、界面化学の技術を駆使して、上質なスキンケア品のようにみずみずしさとコクを両立した使い心地まで楽しめるクリームファンデーションを提供したいと考え、研究に取り組みました。
なぜクリームファンデーションはスキンケア品のようなみずみずしさやコクの実現が難しいのか
クリームは一般的に、界面活性剤により油と水を均一に混ぜて作られます。これを乳化と言い、例えば油中水といわれるタイプでは、界面活性剤に囲まれて油になじみやすくなった水が、油の中に分散しています(乳化滴)。肌にのばしているうちに乳化滴が壊れることで抵抗感が変わりコクを感じ、水が出るのでみずしさを感じます。
一方クリームファンデーションには、クリームの油の中に美しい仕上がりや紫外線カットなどの機能を持つ粉体がたくさん存在します。粉体を安定的に配合するためには、界面活性剤によって粉体同士で均一な構造を作ります。しかし、粉体同士の隙間に乳化滴が入り込み少しずつしか壊れないため、肌にのばしたときの感触の変化が単調になりがちでした(図1左上)。
水の高配合に成功、みずみずしさとコクを実現
本研究では、粉体を含む状態でも乳化滴を適度に壊れやすくし、クリームファンデーションでありながらみずみずしさとコクを両立することに成功しました(図1)。
成功のカギは、スキンケア品やメーク品に使われるさまざまな性質・用途の界面活性剤をテストし、[粉体の均一化と乳化の両方が可能なタイプ]と[スキンケア品で使われる乳化が得意なタイプ]という、これまでにない組み合わせを採用したことです。これにより粉体を均一に安定に配合しながらも、乳化滴の中に水を豊富に配合することに成功。乳化滴が適度に壊れやすくなり、クリームファンデーションの感触の単調さを克服することができました。
指でのばすだけで簡単に美しく仕上がり、スキンケア成分のぜいたく配合も可能に
本研究では、簡単に美しく仕上がることや、スキンケア効果にもこだわりました。
一般のクリームファンデーションでは、美しく仕上げるにはスポンジで丁寧にのばすなどのテクニックが必要とされています。一方、開発品はみずみずしくなめらかに伸びるので、スキンケア感覚で指で軽くのばすだけで均一に美しく仕上げることができます。さらには、乳化滴を大きくすることで、上質なスキンケア品と同じように美容成分をぜいたくに配合することができるようになりました。
本技術により、クリームタイプのファンデーションが抱えていた課題を一挙に解決することに成功しました。今後もポーラ化成では、お客様のさまざまなニーズに応える技術の開発に取り組んでいきます。